ハーモニカブルース
或る日の事。
子供達とお風呂に入っていた時の話。
「 わたし、ハーモニカでドレミファソラシドが吹けない 」 と、娘。
( うんうん。ブルースハープでドレミを吹くのはちょっとまだ難しいかね・・・ )
と思ったのも束の間。 ちょっと待てよと。
「 お前達のハーモニカにはちゃんとドレミ・・・って書いてあるだろ? 」
「 学校でハーモニカなんか習わないよ 」
「 え(・-・)? 」
「 鍵盤ハーモニカならあるよ 」 とは息子。
「 何それ? 」
戸惑う僕に、息子が見せるジェスチャーでピンと来る。
「 あぁ、ピアニカね。 それなら父ちゃんも習った。
あれ鍵盤ハーモニカって呼ぶの? 普通のハーモニカは無いの? 」
「 うん。 習わない (^-^; 」
「 こんなさぁ・・・ケースに入っててさぁ・・・これぐらいの長さでさぁ・・・
ドレミファソラシドって書いてあってさぁ・・・・・知らない? 」
「 知らなーい(^o^; 」
ゆとり教育の犠牲になったのかな(・-・;?
小学校の時分には授業で何を習って何を吹いてたんだっけ?
うまく思い出せないけれども。
下手だった事だけは確かな記憶(苦笑)
あれから幾星霜の時を重ねて、僕はやがてブルースハープに手を伸ばす。
DだのGだのEだのと、曲に合わせて買い揃えたものだったが、
年賀状は届けども、会わなくなって久しい友達の部屋に置きっ放し。
今となっては行き方知れずか(苦笑)
手元に残ったものは、昔カミサンから贈られたこの一本だけ。
そっか・・・
もう学校じゃ教わらないのか。
ちょっと淋しい気もするな・・・
プラスチックのケースの中で、ピカピカに光っていたハーモニカ。
朝が来れば揺れるランドセルの中で、カタカタと音を立てた。
【 ド 】だけ吹かなきゃいけないのに、隣の音が混ざったりして(笑)
授業が終わればハンカチを当てて掃除をしなさいと先生が言った。
学校から一人で帰る日の淋しさを紛らわしてくれた音色。
夕食の準備をするオフクロの傍で、プープーと夢中で吹いていたっけ。
下手だったけどハーモニカが好きだった。
思い出の中にたたずむ小さな少年は、
今もまだ、錆び付いた音色に夢中になっている。
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